銀行の窓口

銀行はオワコンなのか?その理由を現役銀行員が解説します

「職業は何ですか?」と聞かれ、「銀行員です。」と答えると「高給取り」「羨ましい」などと言われていい気分になれたのはかなり以前の話。

将来的にこの銀行員という職業は、全く不要になると言われています。その理由についてお話ししていきたいと思います。

ピンクロビンくん
銀行ってなくなっちゃうのかな?

ゼロ金利下で、本業が儲かっていないから

簡単に言うと銀行の業務は預金をお客様に置いていただき、それ以上の金利で企業に融資してその金利差を利益とするものです。

ゼロ金利になってからかれこれ20年。その時は誰もが銀行の経営が圧迫されるほど長期間に及ぶとは思わなかったと思います。

日本は世界でも有名なデフレ大国となりました。「日本化」とも言われていて先進国の研究材料となっていますよね。

銀行というのはそもそも金利鞘で稼ぐ商売ですので、金利がゼロで、それが長期に及ぶと当然経営が圧迫されていきます。

法人のお客様について言えば、多くの企業は資金需要が減っており、調達も銀行借り入れ以外ですることが昔より増えてきているんですね。

そもそも銀行の需要が無くなっている、ということですね。

経費率が高く店舗統合やリストラが最優先だから

メガバンクは今リストラを急いでいます。大手3行って、関東や関西にやたらいっぱいありますよね!

一時銀行は店舗拡張をしていた時期もありまして、無駄に支店が増えてしまい、業績が悪くなった今焦って縮小している、といった具合です。

各行違いはありますが、大体3分の1から2分の1近くの支店を統廃合により整理しようとしています。

今後これによってどういう影響があるのでしょうか?

まず単純に考えて、銀行の中の役職者が減ります。

支店には”支店長”といわれる人が1人、”副支店長”といわれる人が1人から大店だと5人いたりします。その下に課長、課長代理・・と続きます。

支店の数が減るということは当然役職者は従来の頭数が不要になります。つまり今後は昇格の機会が減るということが考えられます。

それ以外にも今現在、本部管理部門が無くなって営業部門に回されたり、次長が課長、課長が担当者の仕事を請け負う「全員営業体制」に変わったりしていますし、女性の事務職員にも営業をさせるような体制づくりを進めています。

フィンテックやAI化の波が止まらないから

銀行の窓口に行くと、カウンターに振り込みなどの簡単な業務をスピーディに受付する女性担当者と、その奥には事務をこなす人員が何列かになっており、一番奥まった場所に課長らしき年配の人物が座っている・・・と言うのが一般的なイメージですよね。

これらの人たち、今後は不要になります。

これからは相談窓口が2、3個あって、そのほかは人員は一掃されるイメージです。証券会社の窓口をイメージするといいと思います。

近年銀行ではこれまで行員が担っていた事務作業を急いで機械化、AI化しており、実用化し始めてきています。

この移行作業に携わり頑張った女性行員たち自身が不要になってしまうのです・・。

銀行の立場としても「あとは自分のことは自分で考えてください。営業をするなり別の会社に行くなり。」といった厳しめのスタンスです。

今後はお客様が窓口に行ってもATMに誘導されたり「その手続きでしたらネットでどうぞ」と言われてあまり相手にしてもらえなくなるかもしれないです。

もう実際そういったクレームは増えてきていますが、意に介していません。

銀行は今後中長期的に、より少ない社員で大きな取引をするという効率的な営業計画をしており、今後もその傾向は変わることはありません。

ネット証券に負けている話

私は個人のお客様が相手の資産運用業務を担っています。

富裕層のお客様に投資信託、保険商品などの運用商品を販売する仕事です。

リテール部門と言いまして、これははっきり言って赤字部門でして、もう無くしてしまおうという議論すらあります。法人の営業だけにしてしまえということですね。

自分が携わっていることもあり複雑なのですが、実際人件費ばかりかかっていて儲からない部門であることは否めません。

そんな中ネット証券というのはかなりの脅威。

だって、私たちの売っている投信の販売手数料、ゼロ円だったりするんですよ? 笑

勝ち目が無いですよね。

今、銀行と取引してくださっているありがたいお客様って、ほとんどは高齢者、ネット取引が出来ないもしくは希望されないお客様なんですね。

この方達が世代交代して完全ネット社会になったら・・・。

ますます銀行の経営は追い込まれることになると思います。

銀行員が買いたくない商品を売っている

最後、これですね 笑

投資信託については良いものもあると思っていますが。

あとは0.05%の個人向け国債、無意味な外貨建て一時払保険などを必死に販売している状態です。

金融機関は預金残高に対してコストを支払っておりまして、この残高を減らすのに躍起になっているんですね。

国債は販売手数料はわずかなのですが、預金残高が減ることに大いにメリットがあるのです。

しかしながら、銀行員にも数少ない良さもあります。

・世間の信用力が半端ない
・特に高齢者からはウケがいい
・お給料・福利厚生などが相対的にいい

くらいでしょうか。